2011年1月8日土曜日

15.率直さを奨励し“イエスマン“を認めない

今、まさに起ころうとしている事態について正確に理解できたとしても、ここで問題となるのは、それを誰が知ったのか、つまり、これを知った人の立場が問題になります。

もし、何か良くない前兆を知った人が、その分野において経験の少ない人であったなら、経験豊富な人に対し、言い難い状態となってしまいます。更に、経験だけでなく、立場も弱いため、どのように評価されるのかということも気になり、ますます、言い難い状態となります。よほどの人で無い限りは、「ちょっと待てよ」「もうちょっと様子を見てから」などという気持ちがわいてきます。

また、言われた側が、キチンと受け止められるかどうかも問題になります。「何を言っているのか。そんなはずはない」、「自分がちゃんと確認したことだから」、「ごちゃごちゃ言うんじゃない」などともし言うのであれば、言いづらい雰囲気を職場全体につくってしまいます。ベテラン社員には、経験に基づく、いろいろな判断の物差しがあると思いますが、この物差しで測れないことについて、一方的に否定する、否定しようとする雰囲気を作ってはいけません。

 どうしても人は、人によく思われたいという気持ちが起こります。特に、まだ、キャリアがスターとしたばかりの人にとっては、自分がどのように評価されるのかということは、非常に気になります。同期との差は、この時点ではさほどないため、将来を左右することになるかもしれないと考えるようなこともあると思います。このため、なるべく相手に受け入れられるような言動や態度をとってしまいます。これでは、プロとは言えないとはわかっていても。

事が起こる前に知った前兆に対して、回避策がとられることなく放置されるようなことがあってはなりません。このため、経験の豊富な人、立場の上の人は、プライドなどに気をとられることなく、誰もが今起こっていることを率直に伝え易い雰囲気を作ることがたいせつです。進言や意見を感情的にひたすら否定するようなことがあってならないのです。

上官達は部下達の率直さを奨励すべきであって、決して上官風を吹かせてはならない。自分の昇進を目的とした迎合的態度、すなわち“イエスマン”としての行動は許容されないのだ。- 米国海兵隊 -(P71)
北村淳 / 北村愛子 (2009) “アメリカ海兵隊のドクトリン” 芙蓉書房出版

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