2010年4月2日金曜日

4.判断力をもたらす経験と訓練の数

短い時間で何かを判断するには、あらかじめ決めておいた判断基準や直感が必要となりますが、これらは、やはり突然身に付けられるものではありません。何度も繰り返し訓練したり、実際の経験を数多くこなすことが、このような場面での判断を迅速なものとします。

業務改革のプロジェクトを担当していた頃、ちょっとした場面でしたが、少々いきづまっていたある会議において、こんな場面に遭遇しました。

ある時、数名で会議をしていました。意見が真っ向から対立し議論が続きます。それぞれの意見には、それなりの根拠がありました。一通り意見を出し合い答えを見出せず行き詰っていた時、その件に関係する取締役がふらりと会議室に入ってきました。二時間以上続いている会議の内容を隣に座っている人から聞くわけでもなく、ホワイトボートに書かれたいくつかの文字や絵をちらりと見てその人は、言いました。「重要なのは、その点ではない」この言葉の後、そう判断した根拠について話を聞くことになりましたが、参加者で誰も反対意見を述べるものはいませんでした。けっして立場が上だったからというのではなく、正しい判断だと誰もが思ったからです。

この時、経験の数、前提の理解、視野の広さが、複雑な場面においても、すぐに状況を理解させるものなのだということを理解することができました。重要な点を一瞬で理解し判断するのは、単に頭のよさや年齢などではないと学んだ瞬間です。

何か画期的なコツや技のようなものがあるわけではなく、日々起こる様々な事を貪欲に吸収し、広い視野を持ちつづけて、はじめて、今、その瞬間に何をすればいいのかが、目の前に見えてくるのだと思います。もちろん経験や訓練の中味についても大切ですが、それらを繰り返し行ったり、経験することが、重要な場面での適切な判断をもたらすことになります。少し地味な話ではありますが、これが真実なのだと思います。

「今この瞬間に、何がどうなっていて、何が一番重要なのかを判断し、すかさず行動に移るという習性を身につける必要があり、そのため地上で分析、検討と、それにもとづく操作の練習が重視される。- 元航空自衛隊 戦闘機パイロット- (P135)」
服部省吾 (1999) “戦闘機パイロットの空戦哲学 ” 光人社

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