2010年3月31日水曜日

【映画で学ぶ】 アポロ13

10年程前、アメリカ人のマネジャーと仕事をしていて、いろいろな問題が多発し、どう対応していいのか、皆、分からなくなっていたとき。
ふと、そのマネジャーが、
「映画のアポロサーティーン見たことあるか?」
と聞いてきた。
アポロサーティーン(アポロ13号:宇宙船)のことで、そのときは、「アポロ13号は知ってるけど、それが?」と聞き返した。つまり、彼は言いたかったのは、このアポロサーティーンっていう映画、いろいろなトラブルが発生して、地球に帰還できないといった状況に陥っても、地上と宇宙船の両方のチームが、やれる限りのことを考え、試し、そして、無事に帰還するという実話を元にした映画。
「そんな風に諦めずに皆で考え、行動しよう」と言いたかったようだ。
そんな話を聞いてから、一度は見たことのある映画をもう一度、観てみると、たしかに、単なるハリウッド娯楽映画というのではなく、もうすこし深く観る事ができた。
今も、なんとなく頭に残る。地上と宇宙の離れた場所にいる者同士が全力で帰還への道を探る....。
こんな映画でも、プロフェッショナル・マインドを体感できる。

出演:ケビン・ベーコン, エド・ハリス, ビル・パクストン, ゲイリー・シニーズ, トム・ハンクス(特に、エド・ハリスが凄い)

2010年3月29日月曜日

3.「真実らしいこと」の客観的追究

反対意見や、少数意見も無視することなく、検討の対象とする。このように自分や多数派の意見にこだわることなく、考えていく姿勢は非常に大切なことです。多くの人たちは、熱意のあまり、周りが見えなくなり、特定の意見や考えにこだわってしまいます。

「この商品と競合になるような商品は、存在しません」、「まさに、お客様のニーズにぴったりだと思います」、「これは、優れたものを組み合わせているため、良くないはずがありません」などと、熱く語るという意味では、素晴らしいことですが、これは全く客観性の欠けた考えかもしれません。競合製品やお客様のニーズを完全に知り尽くし、そして、良いものの足し算が必ず良いものになると言い切ることが、本当に可能なことなのでしょうか。事実を反映しない、単なる思い込みであっては分析になりません。

自分では、いろいろなことを知り、検討しているつもりでも、実際には、全く目や耳を閉ざしてしまっていると受け取られてもおかしくないような場面に出会うことがあります。これでは、良い方向に進められるような計画を立てることなどできるはずもありません。

自信のない営業マンの話は聞きたくはありませんが、だからといって、根拠のない話を歓迎する気にはなれません。いろいろなことに対する思い、愛着、そして、そうであったらいいなと思う気持ちなど、様々なことが自分の話のトーンを決めることになりますが、分析を行う以上、客観的な姿勢を忘れるわけにはいきません。

このような姿勢で分析に臨むことは、たいへん難しいことではありますが、目の前にあるものをできる限り客観的にとらえ、そこで初めて分析したことになります。そして、そこから、より正しいと思われる、新たな道が生まれることになります。

「分析とは、客観性を担保しながら、極力「真実らしいこと」を追究していくものである。そこに、情報源に対する親愛の情や、思い込み、あるいは偏見があっては成り立たないものだ。- 元外務省 北朝鮮班長/外交官- (P92)」
原田武夫 (2006) “元外交官が最前線で見てきた 超一級の外交術:勝者が必ず踏んでいた「7つのプロセス」とは” 青春出版社

2.言える雰囲気を作る

仕事では、自分一人で何かを考えるというより、複数の人とミーティングを開き、考えていくといったことが多いはずです。しかし、自分の意見にあまりにも自信があったり、こだわっていると、他の人の意見に耳を傾けることができません。聞いているように見えても、最初から答えが決まっており、何があってもそこに強引にもっていこうとするだけです。

研修において、意見をまとめてもらった後、その対極にある意見を考えてもらうことがあります。しかし、意外なことですが、この対極にある意見をすぐに上げることができない方がいます。自分の意見を持つことはできても、それと反対の意見については考えもつかないようです。

もし、リーダー的な役割の人が、他人の意見を聞こうとしない雰囲気を見せてしまうと、その場は、「無駄かもしれないけど、とりあえず、言ってみるか」と思うか、或いは、「言ってもしょうがないし、面倒だから黙っているか」と思うか、そんなことになってしまします。参加者は、もう、うんざりというか、時計を見ながら次の仕事のことを心配し始めます。

出来るだけ自分の思っていることをストレートに言えるような場面を研修では作るようにしていますが、ちょっと不思議なくらい盛り上がりをみせることがあります。「あっという間の時間だった」、「気持ちが楽になった」などの感想を得ることがあります。話合う機会が多いはずの会社では、意外にも、自分の意見を言うような場面が少ないようです。最近は、自分の意見を言うことが求められているように見えて、それを言うことが難しくなっているのかもしれません。

会社というのは、感情や感性を持った人の集まりです。ですから、論理性や合理性、そして、リーダーの持つ強固な意見を強調しすぎると、思ったことを率直に話す風土を失ってしまいます。結局、率直な意見や反対意見を述べたものにとっては、疲労感だけを残すことになってしまい、立場の上の人の意見のみが常に正しいという誤った状況を生み出してしまいます。

「リーダーは、メンバーの内の誰かが一人でも疑問をさし挟んだら、必ずもう一度確認する姿勢をとることが重要です。リーダーは日ごろから、このような場合に物を言いやすい雰囲気を作らなければなりません。部下が何か言うと、怒られたり、文句を言われそうだからおかしいと思ったけれども口に出さなかったというのはリーダーに責任があります。- 国際線旅客機 機長 - (P67)」
坂井優基 (2006) “パイロットが空から学んだ危機管理術” インデックス・コミュニケーションズ

1.人を信用し、そして信じない

人を信用する、或いは、しないというのは、少々厄介な問題である。

自分の部下や仲間を信じるのは、仕事をする上で必要なことであるが、だからと言って、いつも信用するというものでもない。悪意や怠慢さを感じるということではないが、人には勘違いや誤解もある。いかに、いままで良い仕事をしたり、能力が高いかったとしても、必ずしもこれを前面的に受けるわけにはいかない。
しかし、逆に、信用しないかと言えば、それも違いう。信頼というより信頼関係のようなものがなくては、まともな仕事はできない。

「信用する」、「信用しない」の二つは、簡単にどちらかが取るべき道であるということではない。この相反する二つについて、その場面でどのように考えるべきかを決める必要がある。

何か質問をしたときの確認では、相手の勘違いや、深く考えていないがために答えたこをそのまま受け取れば、時間を経て、よくない結果が待っている。ここでは、相手の状況や背景を含め、相手の返答をまともに受けるのではなく、間違ったことを言う可能性を考えることが必要となる。

例を挙げればきりがないが、仲間意識、信頼、危険、道徳、倫理、そういったことでは解決できない、重大な意味を含んでいる言葉だ。

「人を信用しなければいけないという面と疑わなければいけない面とのジレンマがある。真面目な人ほどこのジレンマにいつも陥っている。『信用しないと人はついてこない』という面と、『ただ信用していたら判断を誤る』という面とがある。- 元警視庁副総監 - (P209)」
岡田薫 (2007)“捜査指揮:判断と決断”東京法令出版

2010年3月27日土曜日

プロフェッショナルは、異分野のプロから学ぶ

プロフェッショナルについて、書かれた本はたくさん出版されています。プロフェッショナルとはどういうものか、どうあるべきかなど。最初は、なるほどと思うことも多いと思いますが、数冊の本を読んでいるうちに、なにか足りないなという気分になります。その理由は、「リアリティが足りない」からです。それはそうだと思いえても、実際の仕事の場面、職場をイメージしてみると、なんか雲の上の世界に感じます。もっと「リアリティを」という発想が生まれます。

次に、「リアリティを求める」た場合は、実際に成功しているビジネスマンがTVなどに登場して、「なぜ、このような立場になれたのか?」といったことを語ってもらうようなことがあります。また、書籍においても有名な経営者の自伝的なものなど。

これらが、主なプロフェッショナルについての学習の世界だと思います。

しかし、ちょっとちがう、「アカデミックに整理されたプロフェショナルの技」或いは、「有名な成功者が語る成功物語」が、一般の人の仕事や生活に本当に適用できるのか疑問に思えます。

本当に必要なのは、「リアル」であり、「特定の人を対象とした話でない」ものが必要だと思います。
そんな事を考えていたときに、2年ぐらいまに良い本を見つけました。

「パイロットが空から学んだ一番大切なこと」坂井 優基 インデックスコミュニケーションズ (2005/05)
という本です。



この本の中で、

「パイロットの世界で名人、上手と言われる人ほど、飛行機の勉強だけでなく他の分野についても勉強していることです。原子力発電所の事故の話から、JRの運転手のとっている安全施策まで、実によく知っています。そのほとんどが、考え方やスタンス、自分の立つべき立脚点という話に結びつきます。P200,201」

というように、自分の分野だけなく、他のプロフェッショナルでのやっていることをも研究し参考にするという姿勢の必要性が語られています。

プロフェッショナル・マインド。

これから、他の分野の常識や経験を、自分の分野に活かすということについて、紹介していきたいと思います。

プロフェッショナル・マインドのブログを開始

本日より、プロフェッショナルマインドのブログを始めます。
どんな厳しい場面でも、揺るがない、ぶれない、自分を築く。